老齢年金の繰り下げ受給できる人できない人
Q
もうすぐ65歳です。夫を3年前に亡くし、今は遺族厚生年金を受給しています。(自分の特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は支給停止中)
最近テレビを見ていると自分の老齢年金は70歳まで置いておけばかなり増額して受給できると聞きました。今は仕事をしているので収入がありますが、将来が不安なので繰り下げて増額した年金をもらうことを考えていますが可能でしょうか?
A
おっしゃる通り、今は繰り下げて老齢年金を受給することを検討される方が多いです。テレビや新聞でも取り上げられ、その経済的なメリットについて話題になることも多いですね。
ただし、誰でも繰り下げ受給できるとは限らないのです。相談者の方は今、遺族厚生年金を受給中であるとのことですので、結論から言いますと老齢年金を繰り下げ受給することはできません。※遺族年金受給者は自身の老齢年金を繰り下げ受給することはできません。
もし、仮に65歳以降で繰り下げ待機中(繰り下げしようと思っていた方)に遺族年金の受給権が発生した場合(配偶者が亡くなった場合等)はその時点で繰り下げ請求するか、65歳に遡って請求するかどちらかの選択となり、それ以降に繰り下げ待機者として繰り下げ請求するタイミングを先延ばしすることができません。
ここで注意して頂きたいのは、現に遺族年金の受給者でなかったとしても権利を持っている方も繰り下げ請求できないということです。
良くあるケースとして注意したいのは妻を亡くした夫のケースです。遺族年金の受給権者ではあるものの(妻死亡時に受給要件を満たしている)、自身の老齢年金が高額となるために請求をしていなかった場合も(本来は遺族年金の受給権が発生するが結果支給停止になるケース)老齢年金の繰り下げ請求はできないということになります。繰り下げ請求できるものと将来設計している場合も多く予定が狂ってしまうという事態になりかねません。
その他、障害年金の受給権者なども繰り下げ請求ができなかったり、繰り下げ請求できる年金が老齢厚生年金に限定されたり(障害基礎年金のみの受給権者)、自身の老齢年金を繰り下げ請求ができる方なのか否か、一度ご相談されることをお勧めします。