年次有給休暇を時間単位で取得する
Q 従業員から時間単位で有給休暇を取得したちおいう要望がありました。有給休暇の取得促進にもなるので制度導入を検討したいと思いますが注意点を教えて下さい。
A 今までは年次有給休暇の付与は原則1日単位(或いは半日単位)であったところ、従業員からの要望もあり今後は1時間間で取得できるように制度を変更したいとのご相談。柔軟に有給休暇が取得できれば、柔軟な働き方の選択にもつながります。ぜひ実行しましょう。
この制度ですが、一般的には労使協定を結べは年5日以内の範囲で時間単位の取得が可能となります。年5日以内の範囲内でという制限は、本来は丸一日の有給休暇を取得して休暇の主旨(身体を十分に休め、リフレッシュする時間を確保する)を損なわない為です。ですから、1日単位の有給休暇と時間単位の有給休暇をバランスよく取得してもらうための制限です。
先述のとおり、制度導入には労使協定が必要で、使用者側が勝手に決めることはできません。労使協定では以下のことを定めます。(改正労基法第39条4項1号ないし3号、改正労規則24条の4第1号及び第2号)※当該労使協定は労働基準監督者へ届出する必要はありません。
1.【時間単位年次有給休暇を取得できる対象労働者の範囲】
対象となる労働者の範囲を定めます。一部の者を対象外とする場合にはその者を対象外としないと「事業の正常な運営を妨げる場合」などの理由に限られます。
2.【時間単位年次有給休暇の日数】
1年間で5日以内の範囲で定める必要があります。5日以内なら1日でも5日でも構いません。
3.【有給休暇の1日分の時間数】
1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。この時、1時間に満たない端数が有る場合は時間単位に切り上げます。例えば、所定労働時間が1日7時間30分の場合は8時間となります。
4.【1時間以外の時間を単位として設定する場合の時間数】
必要があれば、2時間単位など1日の所定労働時間数を上回らない整数の時間単位を定めることも可能です。
注意:2019年4月の労基法の改正により、年次有給休暇の年5日の取得が義務化されていますが(対象者の条件あり)、時間単位の年次有給休暇の取得分については、上記の5日間に含めることができません。(例外的に半日単位の年次有給休暇は参入できます)
なお、対象労働者にパートタイマーやアルバイトを含めるか否かは、パートタイム・有期雇用労働法8条、9条を鑑み、安易に対象外としないように合理的な理由に基づき慎重に判断してください。