BLOG

ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 相談事例
  4. 外国人医師の雇用について
かやね社会保険労務士事務所 画像

外国人医師の雇用について


中堅病院です。外国人労働者の雇用を検討しています。そこで質問ですが、外国人医師が病院で働いているのを見かけますが、どういった雇用契約になっているのでしょうか?


回答内容
外国人医師が日本の病院で働いているときに、二つのケースが考えられます。
一つは日本の医師免許を持ち、就労ビザを取得して雇用されている場合。ビザの種類は「医療」になります。医療ビザを取得するにあたり、求められる保有資格は医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士です(すべて日本の医療資格が必要です)ただし、資格を持っていれば誰でも医療ビザの取得が可能というわけではありません。例えば医師の場合ですが、一般的な条件として日本の資格保有の条件のほかに、「日本人と同等額以上の報酬を受けること」という条件があります。※日本の医師免許を 持っていても、研究所での研究がメインの業務の場合は、医療ビザではなく、『研究ビザ』の在留資格に該当します。
二つ目は、外国の医療資格は持っていて日本の医療資格を持っていない場合です。『臨床修練制度』を利用しているケースが考えられます。こちらは厚生労働省に臨床修練許可申請を行ない、許可された外国人医師が対象となります。受入れ先の病院も臨床修練指定病院として予め指定を受けておく必要があります。(指定病院となるには大学付属病院等であることや受入れ体制構築等、細かい基準があります)臨床修練病院の指定を受け臨床修練外国人の選考が完了(人材エージェント等を利用することが多いです)したら、臨床修練外国人の入国審査がスムーズに進むように、事前に「在留資格認定証明書」の発行を入国管理局へ申請します。臨床修練は就労ビザではない「文化活動資格」に該当します。「文化活動」資格は非就労が条件ですので、臨床修練外国人に給与などの報酬を支払うことはできません。なので、臨床修練外国人の滞在中の生活費については、原則として臨床修練病院が負担することになります。生活費の相場については居住する地域にもよりますが、概ね30万円から50万円くらいの範囲でしょうか。なお生活費の支給に際して税務署から給与課税する旨の指導を受けるケースがあると聞きます、給与課税を受け入れると、臨床修練制度(医療法第17条の特例法=臨床修練は無報酬であること)や、在留資格(文化活動=非就労)の要件を満たさなくなってしまいますので注意してください。在留期間は3か月間で申請し、臨床修練開始後は外国人本人が都度、入国管理局へ出向いて在留資格の更新を行うことになります。臨床修練制度自体の期間は2年間で、一度だけ延長が認められます。その間に日本の医師国家資格を取得し、受入れ病院で働き続けるケースもあります。臨床修練外国人は非就労の在留資格(文化活動)なので、社会保険に加入することはできませんが、滞在中に医療機関を受診した場合は、全額自己負担となりますので、念のため国民健康保険には加入しておいた方がよいと思います。臨床修練制度の目的は「医療人材の国際交流と、アジア圏の発展途上国の医療水準向上」ですが、受入先の医療機関のホンネは、医師不足解消のために助っ人外国人ドクターを招聘したいという意向もあり、多くの医療機関では日本の医師国家試験に対応しやすい同じ漢字文化の中国人ドクターの受入れに積極的です。

関連記事