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医師の「働き方改革」について

Q
政府の『働き方改革』という言葉とともに労働時間の上限が罰則付きで規制されると聞いていますが、医師についてはすぐ適用されないと聞きました。背景を教えて下さい。

A
政府の働き方改革の実行計画の下、労働基準法改正検討の中で、残業時間の罰則付きの上限規制(36協定特別条項の見直し)が予定されています。違反した企業名の公表も検討されているところですが、おっしゃる通り、新たな規制を医師に適用するのは5年間先送り(適用を猶予)される動きがあります。その背景の一つには、医師には医師法に基づく応召義務という特殊性があり、一般の労働者の定義とは馴染まないとの考え方があるからとも言われています。医師法19条では「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めています。(同条の見直しの必要性も指摘されていますが…)正当な事由の考え方(健康を損なわないように休息・休日を確保するのは正当な事由では?)も様々あります。またその他には、医師は調査や研究に時間を多く割かれることもあり、学会出席ための準備等もあります。(その学会への出席が業務上によるものかどうかの細かな定義付けは難しいところだと言われています。)そういった、調査や研究時間(医療の一部だとも言えるでしょう)も考慮すると、患者さんと接している時間(診療時間等)だけが労働時間だと簡単には割り切れないところです。ただ、勤務医師の多く(約6割)が過労死の危険を感じたことがあると言われ、医師にも「うつ病」は身近な疾病となっています。過労死や精神疾患を未然に防止するためにも労働(勤務)環境改善が急務です。現在、厚生労働省に設置された「医師の働き方改革に関する検討会」において、医師の働き方改革の方策について議論が進められています。この検討会では、平成 29 年3月から2年を目途として、医師に対する時間外労働規制の具体的な在り方をはじめ、医療機関のマネジメント能力の向上、医師から他の医療従事者等へのタスクシフティング(業務の移管)・タスクシェアリング(業務の共同化)など様々な対策について検討し、結論を得ることとされています。今後の検討会の議論や報告に注目したいところです。

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