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治療と職業生活の両立支援

Q
病気の治療をしながら働き続ける方のために、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」)がありますが、参考資料として「企業・医療機関連携マニュアル」(以下、「マニュアル」)が作成されました。また、両立支援コーディネーターの養成も進めていると聞きます。動向を教えて下さい。


病気になっても無理なく働ける社会の実現を目指して、独立行政法人 労働者健康安全機構は上記のマニュアル(がん・糖尿病・脳卒中・メンタルヘルスの4つの疾病分野)「治療と就労の両立支援マニュアル」を作成して公表しました。昨今、政府か進める「働き方改革」の柱の一つとして挙げられている仕事との両立(介護・育児・治療)のうち、治療と仕事の両立が大きなテーマとなる中、上記「ガイドライン」や「マニュアル」を通じて実行性を高めようしています。また、治療中の労働者の支援を行うため、主治医と会社、又は産業医との連携をスムーズに行って患者(労働者)をサポートする両立支援コーディネーターの重要性が指摘されており、今後、同マニュアルを活用して広くコーディネーター養成を進めていく方針です。このマニュアルは機構が労働者の治療と就労の両立支援を進めるため、平成26年度から全国の労災病院で「治療就労両立支援モデル事業」を展開し、がん・糖尿病・脳卒中・メンタルヘルスの4分野での支援事例を収集し、分析・評価を行って作成したものです。医療従事者だけではなく、企業の労務管理担当者や産業保健スタッフにとっても両立支援の基本的な取り組み方法が理解できる構成になっています。また、モデル事業の中では、患者を中心に医療機関と職場の間で情報提供し、仲介や調整の役割を担う「コーディネーター」の養成研修も行われてきました。当初は機構職員を対象に実施してきましたが、平成29年度からは、一般の医療従事者や医療スタッフにも対象者を拡大して「両立支援コーディネーター研修」を開催し、平成30年度も全国各地で順次開催される予定です。治療と仕事の両立支援を行うに当たっては、労働者本人の理解と同意の下、事業場や医療機関等の関係者が必要に応じて連携することで、労働者本人の治療や業務の状況に応じた、より 適切な支援の実施が可能となると言われています。また、円滑な連携のためには、まず事業者と医療機関が、お互いの支援における役割や考え方等を 理解することが重要です。事業場における両立支援は労働者からの申出を起点とすることになりますが、一方で、労働者に対する両立支援は、医療機関等において開始されることもあります。なぜなら、労働者の中には、病気の診断による精神的な動揺や不安から、早まって退職を選択する場合もありますから、医療機関においては、診断後早期から、就業の継続に関する働きかけを行うことが重要であると言われています。ともに、両立支援をする関係者への普及を通じて、疾病を抱える方々が治療と仕事を両立できる環境整備に取り組んでいくための施策です。他の「働き方改革」の施策とともに今後も引き続き注視したいと思います。

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