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今話題、副業・兼業について

ある病院からのご相談です。
Q 副業をしたいという事務職員がおり、対象者の範囲や手続き、就業規則の見直しについて検討をしなければと思っています。どのような手順で進めていけば良いのか、また注意すべきことは何か教えて下さい。また、医師から申出があった場合も同様の考え方で良いのか教えて下さい。

A 副業・兼業の促進に関するガイドラインが令和2年9月に改訂されていますので、新しいガイドラインに沿ってご説明します。
昨今、副業や兼業を希望する方が増加傾向にあります。副業や兼業をすることを認めることは企業にとっても、①労働者が社内では得られない知識やスキルを習得することができる。②労働者の自立性や自主性を促すことができる。③優秀な人材の獲得、流出の防止ができ、競争力が向上する。④労働者が社外から新たな知識や情報、人脈を入れることで事業機会の拡大につながる。というメリットがあると考えられます。また、人生100年時代、自ら希望する働き方を選ぶための手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという地方創生に資する面もあると考えられ、国としてもその希望に応じてその環境を整備することが重要であるという認識に立っています。
副業・兼業の環境を整えるためには、企業と労働者の双方が納得して進めることが大切です。ただし、何でもかんでも労働者の求めるままに副業・兼業を認めるわけにはいかないのも当然です。副業・兼業することにより、①本業の労務提供に支障がある場合、②業務上の秘密が漏えいする場合、③競業により自社の利益が害される場合、④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合は、その副業・兼業を制限することができるとされています。一方で、使用者側の責務として本業と副業を合わせたトータルでの労働時間の把握や健康管理(安全配慮)等、注意すべき事項は多いです。また、副業・兼業を認める業務内容や就業時間帯、場所、対象者の範囲、事前承認制度の仕組みや、状況把握のための報告の方法等を検討し就業規則等に落とし込んでいく必要があります。
中でも、労働時間の管理については本業の労働時間と副業・兼業の労働時間を通算して管理すべき場合と、通算しない場合を労基法の条文できちんと整理しておきましょう。
(通算すべき規定:労基法第32条、労基法第36条第6項第2号・第3号)
(通算されない規定:労基法第36条第1項、第4項、第5項、第34条、第35条、第39条)

なお、医師についても厚生労働省は医師の働き方改革の推進に関する検討会にて、この改定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を適用する方針を示しており、令和6年4月に適用される医師の時間外労働の上限規制においても、医師の自己申告等によって把握した副業・兼業先の労働時間を含めて労働時間管理する追加的健康確保措置を実施する義務が盛り込まれています。

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