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パート社員の賃金の決め方、これからどうなる?


パート社員を雇用する際に今まで「時給をいくら」と何となく決めていました。同一労働同一賃金のガイドラインもできた昨今、どのように賃金を決定していくべきなのでしょうか?


平成30年の働き方改革関連法により、パートタイマーや有期雇用労働者などの非正規雇用労働者に関する待遇のルールなどについて改正が行われました。
従来のパート労働法でもこれまで通常の労働者との均等・均衡待遇規定が整備されてきましたが、今回の改正では待遇の相違が不合理かどうかの判断について、具体的に示す指針とあいまって均等・均衡待遇規定を明確化するとともに、待遇に関するルールをパート労働者、有期契約労働者、派遣労働者とで斉一的に整理されました。これに伴いパート労働法はパート・有期労働法へ代わり、労働契約法と派遣法の改正も行われました。
「均等待遇」は、労働条件その他の待遇について差別的な取扱いをしてはならないという考え方で、パート・有期労働法の9条に規定されています。
「均衡待遇」は、働く前提が同じならば同じ待遇に、働く前提が異なるならばその違いに応じた待遇をすることを求めた考え方で、パート・有期労働法の8条に規定されています。
いずれも施行日は2020年4月(中小企業は2021年4月)です。
待遇の相違について考慮すべき3つの要素として①職務の内容、②職務内容、配置の変更の範囲、③その他の事情 があり、その待遇について不合理な相違があるか否かで判断されます。
パート労働者の賃金の決定については、パートだから一律時給○○円ではなく、職務の内容や成果、意欲や能力、経験等を踏まえて決定することが大切です。それを実現するためには元々の賃金水準を見直したり、昇給、昇格制度、人事考課制度を整備したり、新たな職務手当を検討するなど…。現在の状況にもよりますが抜本的な対応が必要かもしれません。
また、職種ごとに賃金を決めていた場合にも、一見、職務の内容を考慮しているかと思われがちですが、職務の内容とは業務の内容や課される責任の程度の違いも含まれますので、同じ職種でもその違いに応じて賃金を決定することが必要です。
仮に通常労働者とパート労働者の間に賃金の決定基準やルールに相違がある場合、「今後の役割や期待が異なるため」という主観的、抽象的な説明では足りないと考えられ、前述の3要素を考慮し客観的で具体的な実態に照らして不合理なものであってはならず、その立証がない場合は使用者にとって不利になります。
なお、均等・均衡待遇については賃金(賞与を含む)のみならず、福利厚生や教育訓練などについても同様の考え方により、待遇に不合理な相違があってはいけません。
今まで、何となく賃金を決定していた場合には通常労働者の賃金決定ルールも含めて新たな制度設計を構築する良い機会かもしれません。合理性を追求して、納得のある制度設計をすることは従業員の満足度も高まり、従業員の定着率や労働生産性の向上にも寄与すると考えます。

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